2023年10月7日土曜日

サントリー美術館「虫めづる日本の人々」24

しかし南畝の心中はどうだったでしょうか。やはりあの華やかな天明狂歌に、さらにいえば人間的な天明文化に対する共感が、けっして消滅することはなかったはずです。しかしそれを表立って表明することは、もちろんできませんでした。そんなことをすれば、ほとんど田沼一派と見なされていた南畝は、ソク身の危険にさらされたからです。

 理念は正しくてもどこか息苦しい社会、それまで普通に行なわれてきた人間の楽しみが規制される生活、監視と密告におびえる日常が生まれようとしていました。しかし、まったく同じような時代がかつてあったことを、あの鋭い歴史感覚をもち、狂歌というパロディ文学の天才であった南畝が、気づかないはずはありません。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 13

    新田次郎の 「孤愁 <サウダーデ> 」は未完に終わ りましたが 、 もちろん ポルトガル取材日記は残っていました 。これにしたがって 子息の 藤原 正彦 さんが、お父さんと同じコー スをたどり、同じホテルに宿泊し、同じメニューで食事 とワイン を 賞味した センチ メンタ...