2023年6月19日月曜日

太田記念美術館「ポール・ジャクレー」6

実は僕も「ジャポニスムの起因と原動力」という拙文を書いたことがあるんです。監修者の小林忠さんから求められて、『秘蔵日本美術大観3 大英博物館Ⅲ』(講談社 1993年)のためにまとめたものです。僕の独断と偏見は、ジャポニスムといっても結局それは異国趣味であったというものでした。

つまり先の④は日本美術の本質的理解、さらに限定していえば浮世絵の本質的理解ということになりますが、その根底にはジャポネズリーと同じエキゾチシズムがあったんだと思います。④の場合も、外国の風物をあこがれ好む趣向があり、外国の人物事象を描いて芸術的効果を高めようとするベクトルがあったんです。これを無視してジャポニスムを考察することは、やはり間違いだろうと主張したのです。

 

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皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

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