たくさん伝えられる乾山光琳合作皿のなかでも、とくに出来栄えすぐれ、書画融合の美も難のつけようなく、よく人口に膾炙する一枚です。ただし乾山の賛詩は自詠にあらずして、杜甫の五言律詩「厳鄭公宅同詠竹得香字」から取られたものです。
リチャード・ウィルソン+小笠原佐江子「乾山焼 画讃様式と出典のすべて」(『国際基督教大学学報 人文科学研究』35 2004)が、最初にそれを教えてくれました。その後、柏木麻里「乾山焼の文芸意匠における<引用>の芸術的意義――『円機活法』および光琳乾山合作をめぐって」(『出光美術館研究紀要』20 2015)という論文が発表され、大いに刺激を受けたことでした。
それらが指摘するように、このような乾山の賛詩は、すべて愛用していたアンソロジー『円機活法』を参照したもので、直接『杜甫詩集』によったわけではありません。この五言律詩をまたまたマイ戯訳で……。
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