2022年2月3日木曜日

山本勉さんの愛猫ルリちゃん7

 

 確かに唐末まで、愛玩の対象としては詠まれなかったのでしょうが、もちろん愛されていなかったことを意味するものではありません。それどころか、現代のように趣味や楽しみが多様じゃなかった古代、大いに愛玩されていたのではないでしょうか。いくらネズミを捕食することが重視されたといっても、ただその役目を果たすロボットのようにネコを見なすことなんて、人間にできるはずがありません。

ネコに対する愛情をありのままに吐露する伝統がなかったために、単に詠まれなかったんだと思います。いや、寒山詩「昔時」の「まだらの飼い猫失踪し ネズミがお櫃ひつを囲んでる」には、どっかに行ってしまった愛猫に対する寒山のやさしい気持ち――愛惜の念がよく現われているのではないでしょうか。

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