2020年11月10日火曜日

北斎『潮来絶句集』と南郭1

 

葛飾北斎『潮来絶句集』と服部南郭

今年生誕260年を迎えた天才浮世絵師・葛飾北斎に『潮来絶句集』というすばらしい狂歌絵本――厳密にいえば狂詩絵本があります。狂歌師・富士唐麿がわが国の潮来節を漢詩に翻訳し、それに北斎が挿絵を添えた、情緒纏綿たる傑作絵本です。かつて迷著『北斎と葛飾派』(日本の美術367)に私見を書きましたし、「饒舌館長」にもアップしたことがあるように思いますが、改めて一例をお示ししましょう。

しんくみだしてけさゆふたかみを ぬしのそひねでみだれがみ

 これがもともとも潮来節ですが、富士唐麿はこれを次のような漢詩に翻訳したのです。じつに愉快じゃ~ありませんか。結句の「雲鬢」は「雲鬟」の彫り間違いのようですが……。

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根津美術館「唐絵」6

また島田先生は、「題辞、題詩が単に画図をみた印象、感想を述べるだけでなく、画図の主題と密接な関連があって、 画図の十分な理解のためにはその詩文の解釈が欠かせないとか、題跋の加わることが予期されるというような条件をおくことが必要であろう」と指摘しています。 さらに島田先生は、詩画軸...