乾山も兄に劣らず能謡曲を嗜好していたわけですから、それをみずからの作品に取り入れることは「当たり前田のクラッカー」だったんです。しかし「銹絵染付金銀白彩松波文蓋物」の場合は、能謡曲の記憶や思い出がかすかに揺曳しているような作品と言った方が正しいでしょう。
それは「高砂」の本当にかすかな残り香、けっして聞こえることなく耳底にたゆたう謡の抑揚、ほとんど意識されることなく、心中に沈殿する「真之舞」の残滓とでもいったらよいでしょうか。
ここで 僕が とくに 興味深く感じるのは、男性である狩場明神 の上に金剛界大日如来が、女性である丹生明神の上に胎蔵界大日如来が配されていることです。 つまり 金剛界が男性と、胎蔵界が女性と結びつけられている の です 。 2017年春から初夏にかけ、三井記念美術館で特別展 ...
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