2020年9月12日土曜日

静嘉堂文庫美術館「能をめぐる美の世界」8



能は天平時代、唐からもたらされた民間の舞楽である散楽から発展した芸能です。散楽は平安時代にたいへん盛んとなり、転訛して「猿楽[さるがく]」とも呼ばれるようになりました。この散楽や猿楽のうち、歌舞劇の要素が能に発展し、滑稽劇の部分が狂言になったといわれています。
「安達原」には狂言方が演じる能力という従者が登場、見る人の笑いを誘います。これを間狂言[あいきょうげん]といい、その役をアイと呼びます。つまり「安達原」には、能のオリジンである散楽の要素がよく遺されているように感じられました。また狂言の要素が含まれているために、僕のようなビギナーでも充分楽しめるんです。
このように楽しく、散楽の古層を伝える「安達原」に、我らが「曲女」が使われたことを誇りにもしたいと思います。
   お元気な方は「さん」づけにし、鬼籍に入ったかたのみ「先生」とお呼びする「饒舌館長」の慣例に従ったことをお許しください。

0 件のコメント:

コメントを投稿

すみだ北斎美術館「北斎をめぐる美人画の系譜」3

 この春興狂歌集に、北斎が魅力的な美人風景図を寄せています。解説によると、現在の新宿・神楽坂あたりの風景で、遠景に牛込御門近くにあった堰の落し口が描かれています。これは「どんどん」と呼ばれて、よく知られていました。  その若草もチョッと芽吹き始めた河原を、3人の美人と、連れの子ど...