2025年11月23日日曜日

すみだ北斎美術館「北斎をめぐる美人画の系譜」5

 
 もっとも僕は、かの狂歌絵本『隅田川両岸一覧』を文化3年(1806)の出版と考えるので、この年までを宗理型美人(狂歌絵本)時代としています。そして滝沢馬琴との合作ともいうべき読本の傑作『椿説弓張月』が出版され始めた文化4年から、還暦までを読本時代と名づけています。ちなみに『花の兄』の落款も「宗理改北斎画」となっています。

 『花の兄』に見られる伸暢感覚は、人物画だけじゃなく、風景画にも花鳥画にもうかがわれるように思います。そうだとすると、伸暢感覚は北斎が持って生まれた感覚だったのではないでしょうか。この挿絵でも、凧がとても効果的に使われていますが、これこそ北斎の伸暢感覚を刺激するモチーフだったように思われます。ちょうど富士山が北斎の伸暢感覚を興奮させるモチーフだったように……。

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