2020年5月24日日曜日

シャンフルーリ『猫』10



僕は「表現すべき情緒は今日の情緒であり、また明日の情緒ならなおさらよい」という、名著『古代芸術と祭式』を著わした英国のギリシア学者ジェーン・ハリソンの言葉を思い出して、深く心を動かされました。
もちろん加藤さんの文化や歴史に対する眼差しも同じであるにちがいなく、だからこそ、フランスにおける浮世絵受容が異国趣味の流行によるだけではないと書かれているのでしょう。
かつてジャポニスムとは、異国趣味にすぎないといった趣旨のエッセー「ジャポニスムの起因と原動力」(『秘蔵日本美術大観』3)を書いたことがある僕は、これを機にもう一度よく考えてみようと思ったことでした。もっとも後期高齢者になると、悲しいかな、自分の考えを素直に見直し反省するということが、きわめて困難になってきているのですが……() 

0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」4

   富士の裾野における曽我兄弟敵討ちを主題とする『曽我物語』の後日談ともいうべき内容 です。 これまた一種の復讐譚 ですが 、ここに 登場するのが 十郎 に 愛 された 大磯の遊女・虎御前と、五郎 に 思いをかけられた 化粧坂 けわいざか の遊女・少将で す 。その化粧坂から曽...