2020年2月16日日曜日

沈和年『水墨画の表現力を高めるために』4


ちょうどそのころ京都国立博物館で「池大雅展」が開かており、それにちなんで大雅がこの番組で取り上げられたのです。大雅は指墨の名手として生前から有名で、この特別展にも、その代表作である京博所蔵の「寒山拾得図」が出陳されていました。これをプリントした手拭いが京博ミュージアム・ショップで売られており、手拭い主義者の僕も愛用しているところです。

ヤジ「そんなこと、沈さんとはまったく無関係じゃないか!!

沈さんは大雅と同じく指墨を使って、それを臨写して見せたのです。かつて僕も、「大雅指墨論」なる拙文を書いたことがあるのですが、これは机上の空論にすぎませんでした。

もののみごとに沈さんが再現してみせてくれた「日曜美術館」で、はじめて僕は指墨がいかなる技法かを、具体的に知ることができたのです。世に水墨画家多しといえども、あれほどみごとに指墨を使いこなす方は、今や少ないのではないでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館「復刻 開館記念展」2

本年は、皆様をこの展示室へお迎えする最後の 1 年となります。その幕開けを告げる本展は、 58 年前の開館記念展の出品作品と展示構成を意識しながら企画したものです。……開館記念展の会場を飾ったのは、仙厓( 1750 - 1837 )の書画、古唐津、中国の陶磁や青銅器、オリエントの...