ちょうどそのころ京都国立博物館で「池大雅展」が開かており、それにちなんで大雅がこの番組で取り上げられたのです。大雅は指墨の名手として生前から有名で、この特別展にも、その代表作である京博所蔵の「寒山拾得図」が出陳されていました。これをプリントした手拭いが京博ミュージアム・ショップで売られており、手拭い主義者の僕も愛用しているところです。
ヤジ「そんなこと、沈さんとはまったく無関係じゃないか!!」
沈さんは大雅と同じく指墨を使って、それを臨写して見せたのです。かつて僕も、「大雅指墨論」なる拙文を書いたことがあるのですが、これは机上の空論にすぎませんでした。
もののみごとに沈さんが再現してみせてくれた「日曜美術館」で、はじめて僕は指墨がいかなる技法かを、具体的に知ることができたのです。世に水墨画家多しといえども、あれほどみごとに指墨を使いこなす方は、今や少ないのではないでしょうか。
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