2019年11月9日土曜日

パナソニック汐留美術館「デュフィ展」4


これを「僕の一点」に選んだのは、かつて鎌倉大谷記念美術館で拝見、強く心に残っているからです。ホテルニューオータニ会長であった大谷米一さんの絵画コレクションは、鎌倉の私邸を改装した美術館で公開されていました。横須賀線に乗れば逗子からはひと駅、何度かお邪魔しましたが、そのたびに僕をいやしてくれたのは、そのデュフィ・コレクションでした。

この美術館は、朽木ゆり子さんいうところの邸宅美術館――日本では数少ないすばらしい邸宅美術館でした。もちろん大谷家の邸宅ですからとても立派でしたが、美術館としてはこじんまりしています。そこにデュフィの作品が、最高の居場所を見っけた!!という風情で並んでいるんです。「赤いヴァイオリン」のクオリティは言うまでもありませんが、それほど大きくない号数が、その室内空間にピッタリでした。


0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...