鰭崎英朋 は明治後期から昭和にかけて活躍した絵師です。浮世絵師・月岡芳年の門人である右田年英に入門し、明治35年(1902)から文芸雑誌や小説の単行本の口絵の制作に取り組み始めました。明治末から大正にかけて文学界を彩った英明の妖艶な美人画は、広く大衆の心をつかんで大いに話題となります。
英朋が手掛けた口絵や挿絵は、歴史の終わりを迎えようとする浮世絵版画 (木版画) と、徐々に技術が進歩していく石版画やオフセット印刷によって制作されています。英朋は浮世絵と石版画という、二つの異なる大衆向けメディアに専心した稀有な絵師であり、浮世絵版画の終焉を看取ったという意味で、真の
「最後の浮世絵師」 と言えるでしょう。
本展覧会は、英明が手掛けた木版画や石版画、オフセット印刷による口絵や挿絵、さらには肉筆画や下絵を含めた187点の作品を紹介いたします。 出版メディアが移り変わる時代の狭間に漂う、英明の妖艶な美人画をお楽しみください。
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