2018年6月12日火曜日

静嘉堂「酒器の美に酔う」<お酒の絵>9


結句の「籀文」とは、篆刻の一書体である大篆のことですが、なぜここに「籀文」が出て来るのか、頭をひねってしまいます。自賛の字は普通の行書であって、大篆じゃないからですが、すでにある古詩をそのまま引っ張ってきているのかもしれません。あるいは、海屋が大篆で自刻印を作ったことがあったのでしょうか。はたまた、海屋が七絶をみずから作って大篆で書いたことがあり、その七絶をふたたびここに使ったのでしょうか。よく分かりませんが、古詩の引用と考えて……

    落ち込んだので小盃で ちょっと三杯やったけど

    気分は晴れず仕方なく 大きな雲を描いてみた

    胡麻塩頭もハゲとなり 俗事に染まるを自嘲する

    せめて印だけ苦労して 大篆用いて彫ってみた

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』8

  渡辺浩さんの『日本思想史と現在』というタイトルはチョッと取つきにくいかもしれませんが、読み始めればそんなことはありません。先にあげた「国号考」の目から鱗、「 John Mountpaddy 先生はどこに」のユーモア、丸山真男先生のギョッとするような言葉「学問は野暮なものです」...