2018年2月5日月曜日

三井記念美術館「国宝雪松図と花鳥」4


しかもこの紀要には、いわゆる腰巻が巻かれ、図録として購入することもできるんです。グッドアイディアですね!! 二人の清水さん――清水実さんと清水真澄さんからこの紀要を頂戴し、拝読すると僕の拙論が詳しく紹介されているではありませんか。うれしく感じるとともに、ちょっと穴があったら入りたいような気分になりました。

清水実さんは、全巻をカラーで紹介し、詳しい解説論文を執筆しています。全46紙をモノクロ図版で掲載し、一つ一つに番号を振ったあと、その下に留書き(画中の書き込み文字)の翻刻と見解を加えて完璧を期しています。

僕の間違いを正し、よく分からなかった鳥の同定を進められたことも感謝しなければなりません。「鳥類真写図巻記載の鳥の名称一覧」も至極便利です。さらに清水さんは、新たな知見を加えて作った克明な「正誤表」を送ってくれました。

それらを携えて会場を訪ねれば、清水さんがお住まいの栃木を中心に撮った鳥の美しい写真が、図巻のそこここに添えられて、始興の写生力を実証するとともに、展示効果を高めています。美術館における研究と展示の、すばらしいモデルケースだといってよいでしょう。

それはともかく、考えてみると拙論を発表したのは45年も前のことです。あのころ僕も真面目だったのだ(!?)




0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...