会場は美郷町宿泊交流館「ワクアス」、いよいよ2時から開始です。司会役というか、聞き出し役というか、ともかくも僕が口火を切ることになったので、持論をちょっとしゃべることにしました。
人間が理想とすべき妥当普遍なる価値に、真善美があります。つまり認識上の真と、倫理上の善と、審美上の美です。分かりやすくいえば、人間は真を探求し、善を遂行し、美を創造すべきなのです。人間が創造した美のいただきに位置するのが美術にほかなりません。
先史古代にあって、美術は神や仏に捧げられました。つまり、美術は神や仏のための創造であり、美術を享受し楽しんだのは神仏だったのです。やがて享受者は王侯貴族となり、大名武士へ拡大し、ついに庶民市民へ拡散していきました。
現代において、美術を享受し楽しむ中心は庶民市民ですが、その目的のために考え出されたのが美術館だといってよいでしょう。美術館は美術を収集し、保管し、展示するセンターですが、対象はあくまで庶民市民なのです。このような観点に立ちながら、美術館のディレクターである大原さんと僕が、実際の体験と理想像を飾ることなくお話したいと思いますと言って、イントロダクションを終えました。
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