2017年5月12日金曜日

三井記念美術館「西大寺展」13


 この金剛界を東側から、胎蔵界を西側から拝めば、すでに指摘したような両界曼荼羅と自然の方位が一致することになります。しかも僕が陽と考える金剛界が東側に、陰である胎蔵界が西側にあるわけですから、陰陽思想の観点からも、まったく矛盾がありません。

醍醐寺五重塔初層の柱絵・壁画においては、東側に金剛界、西側に胎蔵界となっていて、通常の配置とは反対になっているように見えますが、決してそうではありません。そうでないどころか、方位および陰陽の二点からみて、きわめて合理的に考えられています。以上の事実は、425日、醍醐寺で行われた『國華』清話会特別鑑賞会で拝見し、確認したことでした。

その時ある法要が行われていたのですが、中心となる一人のお坊さんは、北側の中央に座って「理趣経」を唱えていました。つまりこのお坊さんから見ても、金剛界は東側に、胎蔵界は西側にあるということになります。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...