2025年10月3日金曜日

池袋東武百貨店「伊藤哲 日本画展」


池袋東武百貨店6階美術画廊「今様江戸琳派 雨華庵 伊藤哲 日本画展」<108日まで>

 伊藤哲いとうさとしさんの標記個展が始まりました。伊藤さんは1962年千葉に生まれ、東京藝術大学の油画科と版画専攻を卒修了しました。電通でアートディレクターをつとめたあと、日本画家を志して退路を断ち、新しい創造の世界に飛び込みました。

個展を中心に毎年発表を続けていますが、とくに江戸琳派の造形と精神に惹かれ、2016年には江戸琳派の創始者・酒井抱一の庵号である「雨華庵」を酒井家より拝受、今様江戸琳派の画家としていよいよ活躍の場を広げています。

伊藤さんは2022年放送されたNHKBS「アート疾走×本木雅弘<シン・アートドキュメンタリー 金と黒の本木雅弘>」に出演され、驚くべき作品を披露されました。尾形光琳の「風神雷神図屏風」と、もともとその裏に描かれていた抱一の「夏秋草図」を、一画面に重ね描きしちゃったんです。

この番組に僕もチョッと出たことは、そのときアップしたように思いますが、この「降臨せし風雷神のために」は抱一の洒落と趣向を視覚化した奇想画だと、度肝を抜かれました。それ以来親しくさせてもらっているコンテンポラリー琳派の画家が伊藤さんです。油絵・版画の写実、アートディレクター光悦的感覚、江戸琳派の華麗が渾然一体となった、伊藤琳派の世界をお楽しみ下さい!!

 


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