2025年2月4日火曜日

東京国立博物館「大覚寺」14

このたび改めて川本さんの『友松・山楽』を拝読し、しばらくぶりに美術史の醍醐味にワクワクする自分を感じたのでした。図像解釈学イコノロジー全盛の現在、川本さんの様式史に対する揺るぎなき信頼がじつにカッコよかったからです。「障壁画の年代は、新しい史料でも発見されないかぎり、その様式から判断する以外に手立てがないのである」というのが、川本さんの基本的スタンスなのです。

この川本説にしたがえば、両者を慶長度造営御所の障壁画とするよりほかに、途はないのではないでしょうか。先の『京都御所』によれば、慶長度造営御所は慶長11年ごろの後陽成院御所造営と、慶長16年から始まった後水尾天皇のための内裏新造に大別されます。「牡丹図」「紅白梅図」はいずれかの障壁画だったのではないでしょうか。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』1

  東京美術『<和英対照>日本視覚文化用語辞典』 以下に掲げるのは、このたび東京美術から出版された『<和英対照>日本視覚文化用語辞典』の序文から引用した一部です。 本辞典の前身である『和英対照 日本美術用語辞典』が、文化交流の新たなステージにおいて国際的に資することを願っ...