いきいきプラザ一番町「画技継承 森狙仙から森祖雪、さらに鎌田巌泉へ」 11月4日まで
畏友・五十嵐雅哉さんのコレクション――通称「呑兵衛コレクション」の楽しい森派展です。森狙仙も愛する江戸時代画家の一人、僕の『國華』デビュー論文は950号(1972年)に載った「森狙仙研究序説」ですが、今回とくに興味を惹かれたのは、4点も出陳されている森祖雪でした。かのジョー・プライスさんも祖雪の猿をご所蔵で、拝見するたびにうまいなぁ、落款を隠されたら分からないじゃないかと思っていたからです。
小学館から出版された『ザ・プライスコレクション』(2006年)に言うまでもなく紹介されていて、解説者はチョッときびしい評価を下していますが、畏友・木村重圭さんが『日本美術工芸』506号論文で詳しく論じているとおり、なかなか力量のあるおもしろい画家だと改めて思いました。
今回、鎌田巌泉(1844~1890)という狙仙の孫弟子をはじめて教えてもらいました。2点出陳されていますが、ともにすぐれた出来映えを誇っています。巌泉も先の木村論文で取り上げられていますが、最近では岩佐伸一さんが「『奥村房次郎像 鎌田巌泉筆』(大阪歴史博物館蔵)について」という論文を、同館の『研究紀要』21号(2023年)に発表しており、研究も進展しているようです。鎌田さんの作成したパネルから、新しい応挙情報を受けたことも感謝しなければなりません。
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