しかし大学の研究室で、八王子セミナーハウスで、鹿島美術財団選考委員会で、あるいはサントリー美術館企画委員会でお話をうかがっていてつねに感じたのは、言語という人間最高の文化に対する深い洞察でした。
これら東京だけではありません。パリで、秋田で、京都で、そして倉敷で、会話を交わしながらすごいなぁと感を深くしたのは、日本語という言語の分析でした。そこに流れる日本語に対する愛惜の念でした。それは語学の天才ではなく、言葉を愛し、言葉の不思議を解き明かそうとする、真の言語学者である高階先生でした。
先生は知の引き出しをたくさんお持ちでした。一つ一つ数えていけば、いったいどれくらいになるのでしょうか。空前にして絶後の美術史研究者でした。しかし僕が真率感動するのは、その数の多さではありませんでした。
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