2024年10月11日金曜日

東京都美術館「田中一村展」12

 

いまだ原文にあたるチャンスがなく、湯原かの子さんの『絵のなかの魂 評伝・田中一村』<新潮選書>(新潮社 2006年)から引用して、このエントリーを締めくくることにしましょう。といいつつ、もうチョット続きますが……。

朝と夕に訪れる、昼と夜のはざま、暗から明に、明から暗に移ろうひととき。神々と人間が交感するひとときであり、神の啓示に耳を傾ける人にとっては、時計の針が止まる悠久の時間帯である。ギラつく陽光を忌み、静ひつな、まどろみに似た『隙』の時空に、苦痛のない極楽の世界をかいま見るという観念は、南島に成立した琉球文化に通底するものだという。

0 件のコメント:

コメントを投稿

鎌倉国宝館「扇影衣香」4

          目出度い雪が彼方まで 驚くほどに降り積もり     目出度い雲が天上の 果てまで暗く してる けど     地上はまるで満月の 夜かと疑う明るさで     山には白雲 棚引いて きらめく朝日を 浴び てる よう     舞うがごとくに降る雪は ひらひら 散って...