2024年10月23日水曜日

サントリー美術館「英一蝶」10

地蔵菩薩は釈迦の入滅後、弥勒仏が出現するまでのあいだ、無仏の世界にあって衆生を教化救済するという菩薩です。言うまでもなくインドで生まれ、中国を通して我が国へ伝えられた仏さんであり、成人として造形されるのが常でした。それが我が国で小僧姿の地蔵――小僧地蔵になって流布したことには、日本文化のある性格を見出すことができるのではないでしょうか。

 もっとも、ネット検索で知ったのですが、清水邦彦さんという方の神奈川大学博士論文「日本に於ける地蔵信仰の展開――祖師から民衆まで」によると、中国にも小僧地蔵は存在するそうです。しかし、たとえそれが我が国の小僧地蔵と関係するとしても、中国でも日本と同じように小僧地蔵が愛好され、一般化しているのでしょうか。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」7

愛用する『能・狂言事典』(平凡社 1987年)から、「高砂」の「鑑賞」を引用することにしましょう。 編者のお一人である羽田昶さんは、能謡曲にまったく無知であった僕を親切に教導してくださった恩人です。 「光琳と能」「宗達と能」といった拙論をまとめることができたのも、ひとえに羽田さん...