2024年3月17日日曜日

サントリー美術館「織田有楽斎」7

 

もちろん有楽斎が愛蔵していたという「大井戸茶碗 有楽井戸」(東京国立博物館蔵)一点を堪能するだけで、十分モトは取れます。衒てらいのない民衆芸術の凝縮せるエネルギー、眺めているだけで現代生活のストレスがナンセンスに感じられてくる無作為性、どんなお抹茶でもやさしく迎え入れてくれるおおらかな赤味を帯びた釉色、槿域が生み出した大井戸茶碗の傑作です。

『大正名器鑑』は内箱蓋裏の銘を英一蝶にアトリビュートしているそうですが、江戸絵画史的にも興味惹かれる資料です。しかしこのような一つ一つの素晴らしさやおもしろさを超えて、有楽斎の生き方からSNSの馬鹿馬鹿しさを学び取れる点に、この特別展最大の魅力があるんです。

 ヤジ「ガラケーしかもっていないオマエが、偉そうな口を利くんじゃない!!


0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」6

 友松は晩年、桂宮家を創始した智仁 ともひと 親王のもとにしばしば出入りし、押絵の注文などを受けていたことが、記録から明らかになっているからです。畏友・河合正朝さんの『友松・等顔』<日本美術絵画全集 11 >(集英社  1978 年)によると、桂宮淑子 すみこ 関係の記録にある「...