薩都刺「客中九日」
俺は南方ゆく行商 重陽節がやって来りゃ
あの懐かしき故郷ふるさとと まったく違わぬ菊の花
隣にゃ酒屋があるけれど 菊酒 買う銭ぜに毫ごうもなし
一人「登高とうこう」吟ずれば 腸 断つ思いが胸に満つ
原詩には「一度の孤吟」とあるだけですが、きっと杜甫の「登高」だったと思います。薩都刺の出身はよく分からないようですが、吉川幸次郎先生は回教徒部族の出身だという説を紹介しています。もっとも、じつは漢人だったのに、時世に適応するためわざと外国人風の名を名乗ったという陰口も、『至正直記』という本には書かれているそうです。薩都刺先生も生きていくのが大変だったんだなぁと、チョッと同情したくなります(笑)
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