2023年10月30日月曜日

東京国立近代美術館「棟方志功展」3

続いて紹介したのは、棟方の自叙伝ともいうべき『板極道』(中公文庫 1975年)です。棟方芸術を考えるときに読むべき、もっとも重要な1冊でしょう。いや、読み物としても上々の1冊です。すごくおもしろいんです。棟方の体内から自然に湧いてくるようなユーモアがとてもいいんです。子ども時代の赤貧と苦労を知ると、涙がこぼれてきます。もちろん棟方という芸術家に、改めてオマージュを捧げたい気持ちが高まってきます。

もっとも僕は、最後の「わたくしの極道」を読み終えたとき、「あぁ俺にはこういった人生に対する情熱と意欲が欠けていたなぁ」という、忸怩たる気持ちにもなったのでした。根が真面目なせいかな() 

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...