2022年9月30日金曜日

久米美術館「久米桂一郎日本絵画コレクション展」4

 

 「僕の一点」は瀧和亭の「菊石図」ですね。和亭のすぐれた描写テクニックが遺憾なく発揮されています。画品きわめて高きものがあります。とても佳い漢詩の賛が加えられています。いま近代南画の評価はけっして高くありません。いや、有り体にいえばかなり低いのです。

しかしこのような作品を見ていると、もう少しチャンと見直すべきではないかといった感慨にとらわれます。確かに鬼面人を驚かすようなケレンもありませんし、刺激的な派手さにも欠けています。しかも一般的には知名度の低い画家がほとんどですから、仕方がないのかも知れませんが……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」7

愛用する『能・狂言事典』(平凡社 1987年)から、「高砂」の「鑑賞」を引用することにしましょう。 編者のお一人である羽田昶さんは、能謡曲にまったく無知であった僕を親切に教導してくださった恩人です。 「光琳と能」「宗達と能」といった拙論をまとめることができたのも、ひとえに羽田さん...