キューピットの足の陰影や、そのキューピットが手を置く壷のグラデーションなどを、右手の人差し指で巧みにつけていました。ときどき薬指や小指も使っていました。もちろん基本的な描写は画筆で行なうのですが、指を使わなければ、とてもうまくコピーできないといった調子でやっていました。
そして一段落すると、鏡を持ち出して自分のコピーを映し、出来具合を確かめているんです。この鏡に映して確認するというのも、伝統的なやり方なのでしょうか?
鏡はともかく、洋画指頭技法の伝統が、いまだに生きているんだと、とても興味深く感じられるとともに、また妙に感心したものでした。もっともその時は、まだティツィアーノだけで、コローのことを知りませんでしたが……。
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