この事実を大変おもしろく感じた僕は、20年近く前「大雅指墨試論」なる拙文を書いたとき、註にこれを引用したのでした。大雅の指頭画とはまったく無関係でしたが……(笑)
その後コローもこれを使っていたことを知ったのですが、今回「魚を運ぶ釣り人」を見て、やはり本当だったんだと確信することができたんです。僕が目視で確認しただけですので、あるいは間違っているかもしれませんが、今や光学的調査を施せば、簡単に判明することでしょう。
さらに愉快なのは、ティツィアーノやコローの伝統が、いまも生きていることなんです。2008年秋、パリのギメ美術館で「讃岐金比羅宮障壁画展」が開かれ、ほんのわずかお手伝いした僕にも招待状が来ました。
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