2021年11月9日火曜日

三菱一号館美術館「印象派」5

 

この事実を大変おもしろく感じた僕は、20年近く前「大雅指墨試論」なる拙文を書いたとき、註にこれを引用したのでした。大雅の指頭画とはまったく無関係でしたが……()

その後コローもこれを使っていたことを知ったのですが、今回「魚を運ぶ釣り人」を見て、やはり本当だったんだと確信することができたんです。僕が目視で確認しただけですので、あるいは間違っているかもしれませんが、今や光学的調査を施せば、簡単に判明することでしょう。

さらに愉快なのは、ティツィアーノやコローの伝統が、いまも生きていることなんです。2008年秋、パリのギメ美術館で「讃岐金比羅宮障壁画展」が開かれ、ほんのわずかお手伝いした僕にも招待状が来ました。

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根津美術館「唐絵」8

   その山水はいわゆる辺角の景という構図になっています。画面の左上から右下に対角線を一本引いて、その左下に近景を描き、右上の余白に遠景を添えて遠近感を視覚化させています。 このような辺角の景は、中国・南宋時代の画院画家である馬遠や夏珪が好んで用いた構図法でした。ですから馬の...