2021年10月3日日曜日

近藤先生の面白授業9

 

 近藤さんは絵画における「形似」、つまり広い意味でのリアリズムについて、蘇東坡の五言詩「鄢陵[えんりょう]の王主簿の画く所の折枝[せっし]に書す」を引いて説明を始めています。かつて『秋山光和博士古稀記念 美術史論文集』に寄せた拙文「『写生』の源泉――中国――」で、僕も引用したことがあるとても重要な一首です。その戯訳をアップさせてもらいましょう。近藤さんの解釈とチョッと違うところもありますが……。

  似てるかどうかで絵を決める――子どもの見方とおんなじだ

  平仄だけで詩を作る――詩の何たるかを知らぬ人

  詩と絵の理想は通底し 自然の巧みと清新さ

  辺鸞[へんらん]の鳥 生意あり 趙昌の花は真なれど

  君の双幅こまやかさ 簡潔性でまさってる

  「チョット洒落てる‼」――「バカ言うな。あふれる春光 見えんのか‼」

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...