2021年5月20日木曜日

辻惟雄『日本美術の歴史』と沢村忠3

さらに中国語版も刊行されたとのことです。中国では、日本美術を中国美術の一地方様式くらいに思っている人が少なくないように思います。しかし、決してそうではありません。そうではないないどころか、中国美術の影響を受けつつも、それとは異なる美的特質があることを、本書が広く認識させてくれたにちがいありません。

現在、日中関係はきわめてむずかしい段階に差し掛かっているように思いますが、本書の中国版が、これまで以上に重要な文化大使としての役割を果たしてくれるよう、心から祈って止みません。

 阿修羅像と岡本太郎の「痛ましき腕」と横尾忠則の「お堀」を大きくアレンジした横尾忠則さんの表紙も衝撃的でした。その表紙の背景は、いかにも横尾さんらしいマッキイロなのです。 

0 件のコメント:

コメントを投稿

根津美術館「唐絵」5

とくに応永年間、熱狂的 に愛好されたので、応永詩画軸 などと呼ばれることもあります。 詩画軸のことを勉強するときには、必ず『禅林画賛   中世水墨画を読む』 ( 毎日新聞社 ) という本を手元に置かなければなりません。そして監修者である島田修二郎先生の論文「室町時代の詩画軸につい...