2021年4月26日月曜日

府中市美術館「与謝蕪村」5

 


この作品を宮津で最初に見たのは、もう半世紀も前のことでした。辻惟雄さんを中心に、今は亡きジェームズ・ケーヒル先生を案内しつつ、宮津から出雲へ旅行したときのことです。その後、『国文学 解釈と鑑賞』662号に拙文「蕪村の俳画――若描きを中心に」を書く機会があり、その旅行を思い出しながら本屏風を取り上げました。

やがてこのなかの何人かが屏風を抜け出し、掛幅や扇面の俳画における主人公に成長している点は、とくに興味深く感じられます。

今回は「僕の一点」をもう一つ選びたいと思います。それは「春野行楽図屏風」(個人蔵)ですね。画面のぐっと下の方に、徒歩で、あるいは馬に乗って道を行く人々を描いた屏風で、はじめて見る傑作です。饒舌館長いうところの「行路の画家蕪村」を象徴する作品として、すごく興味を引いたのでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」1

  皇居三の丸尚蔵館「開館記念展 皇室のみやび――受け継ぐ美―― 第 3 期 近世の御所を飾った品々」< 5 月 12 日まで> 平成元年( 1989 )、昭和天皇まで代々皇室に受け継がれた品々が、上皇陛下と香淳皇后により国に寄贈されたことを機に、それらを保存・研究・公開する...