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2020年10月23日金曜日

東京国立博物館「桃山」2

しかし桃山時代の輪郭は実にじつにクリアーであり、桃山美術といえば、だれでもあるイメージを思い浮かべることができます。こんな時代はほかにありません。だからこそ林屋辰三郎先生は、政治史としての桃山時代が短いのを残念に思うとともに、文化史としての桃山時代には寛永年間までを含めるべきだと主張されたのでしょう。

確かに桃山イメージは寛永時代まで残存しており、それを含めてはじめて桃山文化を理解することが可能になるのです。この「桃山 天下人の100年」展も、基本的に林屋説を採用しつつ、絵画、工芸、書芸へ過不足なき目配りを施して、桃山美術の桃山美術たるゆえんが、ごく自然に視覚的理解へ高まるよう組み立てられています。

これが主催者の理解する桃山だから、鑑賞者も黙ってそのように見ろ――といった独善と強制がないところに、得も言われぬ心地よさを感じるのです。


 

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