2020年7月29日水曜日

山本勉さんの愛猫・ルリちゃんへ6


蕪村の俳句といえば、何はともあれ尾形仂先生編集の『蕪村全集』です。その巻1<発句>№570がこの句で、次のように解釈されています。
夕闇の中ですっかりサカリの落ちた猫が、白く浮かぶ夕顔の花を、じゃれるともなく噛んでいる。夕闇の中に咲く夕顔の妖しい美しさと魔性の猫とのよそよそしい組み合わせが、かえって妖艶の度を深めている一幅の画面。
 先生は夕顔の花と猫の組み合わせがよそよそしい――つまり、しっくり合っていないのが返って趣き深いと解釈されているようです。さすが蕪村研究に一生を捧げた尾形先生のすぐれた読みだと感を深くしますが、単純に「余所ごころ」を猫の気持ち、蕪村が見立てた猫の行動のさまと考えることも許されてよいでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

7日間ブックカバーチャレンジ⑦

     最近、傅益瑶さんと知り合いました。傅益瑶さんは僕も大好きな傅抱石画伯のお嬢さんです。1979年日本へ留学し、東京藝術大学で平山郁夫先生に師事されました。やがて水墨画を中心に大寺院の障壁画を製作するとともに、日本のお祭りをライトモチーフに選び、また芭蕉や一茶の俳句をイメー...