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2019年10月9日水曜日

東京ステーションギャラリー「岸田劉生展」8


この観点から強く興味を引く画家の一人として選ばれたのが岸田劉生である。ここではその代表作「切通しの写生」(東京国立近代美術館蔵)に焦点を絞ってみよう。黒田清輝が主導する白馬会の外光派的スタイルから出発した劉生は、やがて白樺派の影響を受けてフュウザン会を立ち上げたが、間もなく北方ルネッサンス様式の差し響きによって写実に傾き、草土社を結成した。「切通しの写生」は、大正五年(一九一六)、第二回草土社展に出品された作品、劉生の家に近い切り通しを描いて、劉生風景画の象徴的位置を占めることになった。今も小田急線参宮橋駅から西北へ五分ほど歩けば、「切通しの阪」と呼ばれている坂がある。

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