2019年10月16日水曜日

静嘉堂のギンモクセイ1


 静嘉堂のギンモクセイがいま満開のときを迎えています。いや、満開というのは桜にこそふさわしく、ギンモクセイにはちょっと合わない言葉のように感じられます。見ごろというのもピッタリこないし、旬というと魚を思い出しちゃうし、盛りというとネコみたいだし(笑)どうもいい表現が思い浮かばないので、「静嘉堂のギンモクセイがいま最高です!!」とでもいっておきましょう。

何といってもその香りです。樹形も気高く堂々としていますし、叢生する小さな薄黄色の花も楚々としていて心惹かれますが、あたり一体を包み込むような芳香にこそ、ギンモクセイの命があります。しかし芳香といっても、キンモクセイのような強烈さはありません。安い香水のような押し付けがましさがありません。

いまの子供はキンモクセイの匂いを模した芳香剤のせいで、本当のキンモクセイをトイレの木なんていうそうですが、いい得て妙です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...