2019年10月16日水曜日

追悼 池内紀先生1


 830日、池内紀先生が亡くなられました。78歳でした。先生とはほとんど一緒に東大で教え始めることになりましたが、僕よりも10年ほど早く、定年前にお辞めになり、あとは筆一本をたよりに、誰もがあこがれて止まない一人の自由人として生きられました。

先生と親しかった評論家の川本三郎さんが『朝日新聞』に寄せた「池内紀さんを悼む」は、思いのこもる本当にすばらしい追悼文でした。しかも池内先生を次のように位置づけている点に、感を深くしました。

権力や権威とはほど遠い。学界や文壇とも距離を置き、自分の知的好奇心のおもむくまま仕事をされた。趣味が確固たる思想になった。その点で澁澤龍彦、種村季弘ら自由な知識人の系譜を受け継いでいた。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...