2019年5月29日水曜日

町田市立博物館最終展5


「緑釉鎬文鉢」は外側に鎬文をほどこした厚手の陶器で、全体に美しい緑釉がかかっていますが、重ね焼きをするため、見込みに円く釉薬をかけず、陶胎を見せる太い輪を残しています。それが力強い意匠となり、この鉢の魅力をさらに高めています。去年暮れ、はじめて訪れたベトナムでも、ずいぶんすぐれた緑釉陶を見ましたが、これに匹敵するものは少なかったように思います。

もう一つ興味を惹いたのは、この緑釉が我が織部焼の緑釉とまったく同じ色合いを見せていることでした。それは偶然の一致というよりも、何らかの影響関係がある――いや、明らかにあるように感じられたのです。

それはともかく、この鉢に茹でたばかりの枝豆か空豆を盛って天然塩を少し多めに振り、キンキンに冷えたビールをやったら、どんなにうまいことでしょうか。そのビールは、やはり「サイゴン」か「333」か「ビア・ハノイ」が合うような気がしますが() 

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