2018年10月23日火曜日

静嘉堂文庫美術館「川喜田半泥子私論」7


翌日はお馴染みの河野トーク、演題は「福田豊四郎 北国の抒情」、この郷愁の画家について持論を吐露していたら、絶筆の「紅蓮の座・池心座主」にたどりつく前に、タイムアップとなってしまいました。

この日の午前中はフリーだったので、前から訪ねてみたいと思っていた石水美術館への案内を毛利さんに頼みました。愛して止まない川喜田半泥子の美術館です。「僕の一点」は「かまつ()けば窯の中まで秋の風」という自賛をもつ「千歳山真景図」。

千歳山とはこの美術館が建つ小山、昭和8年、半泥子は小山冨士夫の指導を得てここに窯を築き、二年後、完全なる成功に漕ぎつけました。真景図とはいっても、松の木だけを淡彩で描いた作品です。尾形乾山に傾倒し、『乾山考』まで著わした半泥子が、その兄光琳の「松図」(川端康成記念館蔵)を見る機会に恵まれ、インスピレーションを得た作品だと直感したことでした。


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