2018年7月28日土曜日

後期高齢者と李賀3


すでにアップしたこともありますが、李賀(791817)は中唐の詩人、昌谷(河南省)の人、僕がもっとも愛する唐詩人のひとりです。唐皇室の子孫だと誇っていますが、かの杜甫と血縁関係にあったことの方が重要だといわれています。

20歳のとき進士の試験を受けようとしましたが、父の諱が晋粛であるから、子は音通する進士になるべきじゃないという横槍が入り、受験できないまま長安を後にしなければなりませんでした。このとき韓愈が弁護して書いた「諱弁」は、『文章軌範』に収められて、名文中の名文になっています。翌年、長安に出て奉礼郎となりましたが、満たされぬ2年を過ごしたのち昌谷に帰り、弱冠27歳で白玉楼中の人となりました。

李賀は楚辞の幻想的イメージに霊感を受けつつ、色彩感あふれる浪漫詩を紡ぎだしました。杜牧は李賀詩集の序文に、「創作における踏みならされた道筋を全く無視した」と書きました。だから「李白を天才絶と為す。白居易を人才絶と為す。李賀を鬼才絶と為す」ともたたえられました。その詩難解にして注なしには読めぬとまで言われたそうです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』8

  渡辺浩さんの『日本思想史と現在』というタイトルはチョッと取つきにくいかもしれませんが、読み始めればそんなことはありません。先にあげた「国号考」の目から鱗、「 John Mountpaddy 先生はどこに」のユーモア、丸山真男先生のギョッとするような言葉「学問は野暮なものです」...