2018年7月22日日曜日

三菱一号館美術館「ショーメ展」3


西欧的リアリズムから考えれば、これはおかしいということになります。横を向いたり、後ろを見せたりする花が、一つもありません。そんなことがあるはずはないでしょう。もちろんこれは、宝飾品、つまり工芸品のためのデッサンだからです。

ところで我が国花鳥画の花を心に浮かべてみると、正面から見たところを描く作品が少なくないように思います。たとえば長谷川久蔵の「智積院桜図障壁画」や尾形光琳の「紅白梅図屏風」、伊藤若冲の「菊花流水図」<動植綵絵>です。僕が『國華』1204号に紹介させてもらった「菊図屏風」――杉本秀太郎先生が愛して止まなかったこの逸品も、まさに盛上げによる正面観の白菊が咲き乱れる清らかな花園でした。

もっとも、よく見ると横向きや後ろ向きもないわけではありませんし、むしろそれらを中心に描いた作品も、狩野派をはじめたくさん遺されています。

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