2018年3月11日日曜日

三重県立美術館「今村幸生展」2


その時は写真を見ただけだったので、今回は実際の作品が見られるかと思いましたが、陳列替えが終わった後期のため、残念ながら思いはかないませんでした。しかし、カタログに寄せられた何必館館長・梶川芳友さんの巻頭エッセー「現代の鬼才 今村幸生」によって、その制作事情を知ることができたのは、とてもうれしいことでした。

1970年代から、梶川さんは今村を知っていましたが、30年ぶりに伊勢のアトリエで今村の作品を見たとき、何必館でぜひその展覧会を開いてみたいという思いに駆られました。それにもかかわらず、梶川さんは次のように書いています。

しかし、この展覧会には何か足りないものがある、という思いがあった。その中で、私は長年コレクションしていた、100年以上の時代を経た金屏風に絵を描くことを提案した。既成概念を嫌う今村に、完成された伝統様式の金屏風に絵を描くことを提案するには覚悟がいった。


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