2017年11月26日日曜日

細見美術館「末法/APOCALYPSE」5


 この屏風は、すぐ水尾比呂志さんにより『國華』1343号に紹介されました。もちろん水尾さんは、これを等伯筆と断定し、智積院画の豊饒絢爛の画風を、三宝院画において沈静させ深化させていった方向を継続する作例とみなしました。その後、「対決 巨匠たちの日本美術」では、「永徳vs等伯」のパートに、長谷川等伯筆として出陳されました。それは直前に再発見された永徳筆「四季花鳥図屏風」と好一対の輝きを放って、この特別展に錦上花を添えてくれました。

もっとも、土居先生の箱書については、水尾さんが少しあとの号に訂正記事を書いていますが、その箱書きがどうであれ、この屏風が等伯の傑作であることは、いささかも疑いなきことのように思われます。

このカタログのタイトル「APOCALYPSE」が目に飛び込んでくると同時に、僕にはあるメロディーが聞こえてきました。山口百恵の「アポカリプス・ラブ」――かの阿木耀子・宇崎竜童・萩田光雄という名トリオが生み出した傑作の一つです。早速僕は、鶴田一郎がサイケ調にジャケットを飾るLP「メビウス・ゲーム」を引っ張り出してきて、何年ぶりかでターンテーブルに乗せたことでした。

蒼ざめた馬を見よ それは死 ひとつの恋の終り
幻の都 バビロン 酒肉の宴 蜜の夜
乙女は誘われて 肌を開き 愛を語る
アー泣かないで アー泣かないで
たゆとうままの 歴史の流れ 人の営みは 変わらない
アー愛しても アー愛しても アポカリプス・ラブ 私達

 このあとに入る「ヨハネ黙示録216節」という百恵のちょっと沈んだナレーションも印象的です!!

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』8

  渡辺浩さんの『日本思想史と現在』というタイトルはチョッと取つきにくいかもしれませんが、読み始めればそんなことはありません。先にあげた「国号考」の目から鱗、「 John Mountpaddy 先生はどこに」のユーモア、丸山真男先生のギョッとするような言葉「学問は野暮なものです」...