2017年5月2日火曜日

三井記念美術館「西大寺展」3


そもそも曼荼羅とは、大日如来を中心に多くの仏を配置し、密教の世界観を表したものです。はじめインドでは、いろいろな色の砂で描く砂曼荼羅でしたが、儀式が終われば消えてしまうので、これを残すために絵にするようになったのでしょう。絵にすれば何度でも使うことができます。これが現在僕たちの知っている「両界曼荼羅図」のオリジンです。つまり二つの曼荼羅は、本来別々に誕生したものであって、直接的関係は希薄でした。

それが中国にもたらされてペアとなるのですが、その原動力となったのは、中国の陰陽思想だったと思います。相反する性質の陰と陽という二種の気によって、万物は作られ変化するとする易学の考え方です。月・秋・北・夜・女などは陰、日・春・南・昼・男などは陽とされました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』3

  前回、東京国立博物館の特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を紹介しましたが、実をいうと後期高齢者の僕には「コンテンツ」の意味がよく飲み込めませんでした。しかしこの辞典にはチャンと「コンテンツ」という項目があって、簡にして要を得た説明がなされています。しかも「マーシ...