人間と自然がこれほどまでに芸術的なセンスで調和している国を、私は今まで見たことがない。
(西洋では)人間は自然を破壊して都市をつくり、景観を損ねるが、日本では人が手を加えた後も、自然はいっそう美しく耀くのだ。これは驚異的なことだ。
あふれるほど多様な品種があった時代は過ぎ去った。島国日本が、長期間にわたって平和と繁栄を享受し、芸術と伝統美を追求した江戸時代は、もはや過去のものとなったのだ。
もっとも本書には、日本人としてあまり知りたくない歴史的事実も、抜かりなく書かれているのですが……。
人間と自然がこれほどまでに芸術的なセンスで調和している国を、私は今まで見たことがない。
(西洋では)人間は自然を破壊して都市をつくり、景観を損ねるが、日本では人が手を加えた後も、自然はいっそう美しく耀くのだ。これは驚異的なことだ。
あふれるほど多様な品種があった時代は過ぎ去った。島国日本が、長期間にわたって平和と繁栄を享受し、芸術と伝統美を追求した江戸時代は、もはや過去のものとなったのだ。
もっとも本書には、日本人としてあまり知りたくない歴史的事実も、抜かりなく書かれているのですが……。
その結果でしょう、現在ごく限られた場所でしか、太白は見られないそうです。そのうちの一つが新宿御苑で、去年ブータン博士の解説を聞きながら、その得もいえぬ気品に満ちた白さに見惚れたことを思い出したのでした。
阿部菜穂子さんの『チェリー・イングラム 日本の桜を救ったイギリス人』は、日本のサクラに、いや、日本という極東の小国に魅了された「イギリス人桜守」の言葉を伝えています。その孫にあたるアーネスト・ポラード夫妻が保管する未公開日記から、阿部さんが見つけ出したのです。これを僕は、天上の渡辺京二先生に捧げたいと思いました。
とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木ほぎ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。
しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自治体は、それぞれの大義名分のもとで、競うように染井吉野を植樹したのです。阿部菜穂子さんによれば、成長が早く経済的なこのサクラは、戦後の荒廃からいた早く立ち直ろうとした「新生日本」のシンボルとして、改めて都合よく使われたのです。
イングラムはサクラの美に魅入られたイギリスの園芸家で、「チェリー・イングラム」という愛称を捧げられたほどでした。1926年、再び日本にやってきたイングラムは、日本人の関心が派手なサクラに向けられ、珍しい品種はないがしろにされて、本来の多種多様性が消滅しかかっている日本のサクラに危機感を募らせました。
彼はケント州ベネンドンにある自分の邸宅「ザ・グレンジ」に帰ると、そこに庭園「桜の園」を開き、みずから多種多様なサクラを育て始めたのです。「将来日本人は、もっとも美しいサクラをヨーロッパやアメリカで再発見することになるだろう」という、シニカルで切実な思いに駆られながら……。
しかし天王寺のオカメザクラだけは、満面の笑みで僕たちを迎えてくれました。ブータン博士によると、オカメザクラはイギリスのコリングウッド・イングラムという園芸家が、カンヒザクラとマメザクラから作った交配種で、これがわが国へもたらされたそうです。
ブータン博士の話を聞き、オカメザクラを眺めているうちに、かつて朝日新聞の記事で知って求めながら、ツンドクのままになっている一冊の本を思い出しました。帰宅して書庫の奥から引っ張り出した阿部菜穂子さんの『チェリー・イングラム 日本の桜を救ったイギリス人』(岩波書店 2016年)がその本です。
3月23日ブータン博士花見会が行なわれました。ブータン博士花見会? 日比谷高校昭和37年(1962)卒業生のうち、桜ファンが集まってブータン博士の解説を聞き、そのあと飲み会に流れるという集まりです。ブータン博士? 田中潔君のニックネームです。田中君は植物学のスペシャリストですが、どうしてブータンと呼ばれるようになったのか、よく知りません。「饒舌館長」は自分から言い出したブログネームですが……(笑)
この花見会はずいぶん長く続いているそうですが、僕は去年の新宿御苑に続いて2回目の参加です。今年は谷中霊園が選ばれましたが、春まだ浅く、園内満開とはいきませんでした。
僕も15年ほど前から、審査員としてお手伝いさせてもらってきました。この間、町田泰宣さん、潮見冲天さん、堀江春美さんをはじめ、院の方々には大変お世話になり、楽しく勉強させてもらってきました。
日本南画院展の最高賞は文部科学大臣賞で、今回は森川節夫さんの「戒め」が受賞しました。これに次ぐのが竹田賞で、もちろん田能村竹田にちなむ賞です。尊敬して止まない田能村竹田――その竹田賞を選考するというのですから、さすがの饒舌館長も緊張しないはずはありません(笑) 今回、竹田賞は渡辺天弓さんの「時経て」に決まりました。お二人をはじめ、受賞された方々に、心からの祝辞を捧げたいと存じます。
なお「饒舌館長ブログ」では、幽明界を異にされた方のみ「先生」とし、お元気な方はひとしなみに「さん」とお呼びすることにしています。
仏画や歴史画に見て取れる高い絵画技術、 動物画に宿る生命力、戯画や風刺画に込められた機知と批評精神、そして妖怪や神仏の表現に見られる豊かな発想力 ―― 暁斎の筆は、時代の変化を映し出しながら、 良くも悪くも変わらない人間の本質 を、ユーモアをもって描き出しています。 イスラ...