2025年11月12日水曜日

三井記念美術館「円山応挙」6


  しかしカタログには、興味深い異なる説が紹介されています。木賊は漆や木製品の研磨に用いられるところから、和歌などにおける修辞で、しばしば光り輝く月と結びつけられるというのです。僕は単に謡曲から推定しただけでしたが、もっと具体的な関係があったことを知って、とてもうれしく感じました。

 いずれにせよ、描かれない月と、描かれる兎・木賊はちょうど三角形をなしているんです。描かれた兎も木賊もともに描かれない月と結びつくと同時に、兎と木賊も歯磨き関係(!?)で結びつくというわけですが、これらはすべて文化的観念あるいは伝統的視覚でした。

 以上をまとめて、僕は「応挙は写生を何よりも重んじた実証主義の申し子であったが、しかし同時に、伝統的な視覚形式からも抜きさしならぬ影響を受けていた。応挙画の魅力は、その微妙な均衡に求められるのである」なんて結論めかして書いています。しかし今読んでみると、30年前は俺も若かったなぁという感慨にとらわれます( ´艸`)

0 件のコメント:

コメントを投稿

今や北斎・広重とともに「風景版画の3H」とたたえられる川瀬巴水を中心とする新版画展が三菱一号館美術館で開催中です!! 14

  川瀬巴水は「サウダーデの風景版画家」 と呼ばれるべき です!!  しかし その理由はもう一つあります 。 モラエスが 「 芸術と文学 」 の章に 、つぎのごとく書き記しているからです。   ふんだんに日本の土地を ゆさぶって家屋を倒壊させる地震には、日本は家屋をふたたび廃墟か...