2025年9月16日火曜日

サントリー美術館「絵金」4

 

 絵金は江戸後期の文化9年(1812)土佐の高知城下、現在のはりまや町に髪結いの子として生まれました。本姓は最終的に(!?)広瀬、通称は金蔵、土佐では絵師金蔵をつづめ「絵金」「絵金さん」と呼ばれて親しまれました。18歳で江戸に出て、表絵師・駿河台狩野家の弟子で、江戸土佐侯山内家の御用絵師であった前村洞和に学びました。

洞和の家塾で修行すること3年、洞意という雅号を与えられました。かの河鍋暁斎と同門ですが、暁斎が洞和に入門したのは10年もあとのことでしたから、二人は会っていないのでしょう。しかし共鳴する自由奔放な美意識をもち、ともに失意の時代を経験している事実は、とても興味深く感じられます。21歳にして郷里に帰った絵金は、土佐藩家老の御用絵師に出世、藩医であった林家の姓を購入して、林洞意と名乗りました。


0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

  この長春筆 「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵 ということになります 。 先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵 も 当世風美人になっているのですが、 このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成している...