2025年9月9日火曜日

東京国立博物館「江戸☆大奥」10

 

中国の後宮といえば、何といっても白楽天の「長恨歌」にある「後宮の佳麗三千人 三千の寵愛一身に在り」――さすが中国だとしばしば引用されるところですね。この「長恨歌」を中国語で暗唱できるのも僕の自慢です。

口演で玄宗楊貴妃の絵――いわゆる明皇絵が出てくると、音吐朗々「漢皇重色思傾国……六宮粉黛無顔色」とやって、「大抵ここらあたりで拍手が起こるものですが……」と笑いを取るんです。しかし覚えているのはここまで、つまりあの長い「長恨歌」の最初の8句だけなんです( ´艸`)

 それはともかく、一般的に世間で「大奥」といえば、どうしても柳亭種彦作・歌川国貞画の『偐紫田舎源氏』に象徴されるような艶やかな世界の方へいってしまいます。言うまでもなく『偐紫田舎源氏』は、紫式部が著わした王朝文学『源氏物語』を室町時代に移し変え、翻案を施した江戸時代合巻の傑作です。


0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」5

  この長春筆 「形見の駒図」は、「世継曽我」の虎御前と化粧坂の少将を、当世風の美人に移し変えて描いた見立て絵 ということになります 。 先の山本九兵衛版『世継曽我』の挿絵 も 当世風美人になっているのですが、 このような見立てが近松浄瑠璃の「世継曽我」においてすでに完成している...