2025年8月16日土曜日

室町のネコ絵5

 

しかし私見が若い研究者によって否定されるのは、研究者にとって名誉なことです。尊敬する仏教美術研究者・中野玄三先生も、『日本仏教美術研究 続』(思文閣出版)の跋に、このごろ自分の出した結論が若い研究者によって多く否定されているが、これは自分の問題意識や着眼点、主題選択が正しかったことを逆に証明しているのだという意味のことを、お書きになっていたように思います。僕の場合も同じなのだと叫びたい気持ちになります。

 ヤジ「あの中野玄三先生とオマエを一緒くたにするな!! オマエのは単なる居直りじゃないか!!

ここで急に中野玄三先生を思い出したのには訳があります。孝信高台寺座屏に関する拙文を読み返そうと思って、先の『國華』1194号を書架から引っ張り出してくると、巻頭論文が中野先生の「阿弥陀影現図論――楊谷寺本阿弥陀如来像二種を中心にして――」だったからです。

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