2025年5月6日火曜日

石川県立美術館「宗雪・相説」4

 「僕の一点」は、何といっても俵屋宗雪筆「群鶴図屏風」(個人蔵)ですね。50年前、はじめて見て驚いた忘れがたき傑作です。この屏風でも特徴的な「宗雪土坡」が構図の基本となっていますが、これはかの宗達筆「蔦の細道図屏風」(相国寺蔵)から摂取したものでしょう。1975年カタログには、「前田利常が明暦3年に建立した梯天満宮かけはしてんまんぐうに、利常自身が寄進したとの伝えがあり、地元金沢に古くから伝世されている」と書いてあります。

そこで前田家と鶴は何か関係があるんじゃないのかと思って調べると、やはりあったんです。加賀藩祖・前田利家の奥方芳春院が、金沢城東の丸郭くるわに白鶴が舞い降りたのを見て、加賀藩イヤサカの瑞祥だとして鶴の丸と名づけたというのです。銘酒「加賀鶴」はこれにちなむのかな()

0 件のコメント:

コメントを投稿

東京美術『日本視覚文化用語辞典』2

 本邦初の辞典がここに誕生したんです。しかも日本語のあとに、すぐれた英訳がついているから便利です。便利なだけじゃ~ありません。日本語と英語における視覚文化へのアプローチが意外に異なっていることが浮彫りになり、おのずとわが国視覚文化の特質といった問題へ導かれることになります。この質...