2024年7月20日土曜日

サントリー美術館「尾張徳川家の至宝」9

 

森重行敏編著『ビジュアル版 和楽器事典』(汐文社 2012年)にはもう少し詳しく説明されています。二弦琴は1800年ごろ、覚峰というお坊さんにより広められたという説も紹介されています。とくに日本人の独創であることは強調されていませんが、一弦琴こそ「これ以上簡単にできない究極の楽器」だというのが愉快です。一畳台目の茶室みたいなものかな( ´艸`)

中国では箏の弦数がむしろ増えていったのに、日本ではついに一弦や二弦の琴きんが生まれたんです。「日本文化は簡潔性シンプリシティを志向する」というのが持論ですが、まさにそのエビデンスです。音楽に限れば、名指揮者フルトヴェングラーの「すべての音楽はシンプリシティを目指す」という至言が改めて思い出されます。もっとも中国には、陶淵明の「無弦琴」というのがありましたが…… ( ´艸`)


0 件のコメント:

コメントを投稿

出光美術館(門司)「琳派の系譜」7

愛用する『能・狂言事典』(平凡社 1987年)から、「高砂」の「鑑賞」を引用することにしましょう。 編者のお一人である羽田昶さんは、能謡曲にまったく無知であった僕を親切に教導してくださった恩人です。 「光琳と能」「宗達と能」といった拙論をまとめることができたのも、ひとえに羽田さん...